2018/01/05

【OGS使ってみた】(11)トーナメントの種類

前回の「(10)グループに参加」でトーナメントに触れてみたけど、トーナメントで使われている用語を調べてみた。OGSでの実装方法は分からないので微妙に異なっているかもしれない。


<サイト全体(サイトワイド)のトーナメント>
アカウント登録したときから(グループに属していなくても)ホーム画面上で開催がお知らせされるトーナメントは、OGSのシステムが定期的に自動で作成しているトーナメント。
これらのトーナメントはその名前から大体どのようなものか分かるので便利。


<対局スピード>
  • ブリッツ (Blitz) ・・・平均1手10秒の早打ち
  • ライブ (Live) ・・・平均1手30秒の普通の対局
  • 通信対局 (Correspondence) ・・・平均1手1日のボード碁


<参加基準>
  • だれでも (Open)
  • グループのメンバー限定 (Members only)
  • 招待者のみ (Invite only)


<対局者ペアリング方法>
総当たりじゃない場合は、誰と誰を対局させるかというペアリングが重要になる。
  • ランダム (Random)
文字通り運まかせのランダム。
制御していないだけともいえるし、運不運が強く出るので公平にならない。
  • スローター方式 (Slaughter)
最も強いプレイヤーと最も弱いプレイヤーとをペアにしていき、これを繰り返す。
トーナメントの最後まで強いプレイヤーが残りやすく、決勝に近づくほど好試合が期待される。逆に弱ければ弱いほど負ける確率が高くなる(まぐれで勝つ確率すら低くなる)ので、やる気がなくなる。
Foldともいう。
  • スライド方式 (Slide)
強い順に並べて真ん中で分け、全てのペアの棋力差が同程度になるようにする。
スローター方式ほどではないが、強いプレイヤーが最後まで残りやすい。
Flip、Crossともいう。
  • 強さ(Strength)
プレイヤーの強さの順にペアにしていく。
それぞれ好試合が期待されるが、強くても負けて早々と終わりになるし弱いものが残っていく。
Adjacent、King-of-the-Hillともいう。

※参考図では分かりやすく段級位を用いたが、OGSではレートの方を使っていると思う。


<トーナメントタイプ>
  • 負け抜け (Single Elimination)
よくある普通の勝ち抜き(ノックアウト)トーナメント戦。
勝ったものどうしが順次対戦して優勝を決める。
シンプルではあるが1回負けると終わりのため運の要素が強く(強くてもまぐれであれ負ければ終わるし、事実上の決勝戦が1回戦で行われるかもしれない)、ペアリングにも強く影響される。
  •  2回負け抜け (Double Elimination)
2回負けると終わりの勝ち抜きトーナメント戦。
普通のトーナメント表の隣に1回負けた人用のトーナメント表があり、最後に決勝戦を行うようなイメージ。
1回負けに比べて運の要素は軽減し、強いプレイヤーがより優勝しやすい。
  •  総当たり戦 (Round Robin)
参加者全員と対局するリーグ戦。対局数は全員同じになる。
全員と対局するためペアリングの問題も起きず最も公平な方法ではあるが、参加者が多すぎると非現実的。
参加者10人だと一気に9つの対局が始まるので注意。
  • スイス式 (Swiss)
全ての参加者が一定数の試合を行い、勝ち点(ポイント)の多い人が優勝。
全員の第1ラウンド(1回戦)終了後に勝敗数が同じもの同士で第2ラウンド(2回戦)が組まれる。
総当たり戦に比べて対局数は減るが、全員の第1ラウンドが終わらないと第2ラウンドの相手が決められないし、参加人数が多くなると対局数も増え時間もかかる(対局数が少ないと勝ち点が同じ1位タイの人数が多くなる)。
  • マクマホン方式 (McMahon)
スイス式の改良版。いろいろな棋力のプレイヤーが集まるのに適している。
また、スイス式と同じく対局数は全員同じではあるけれど対局数を減らすことができる。
開始前に棋力に応じて強いプレイヤーにポイント(勝ち点)を与えておく(OGSの場合は強いプレイヤーは0ポイントで始まり、弱いプレイヤーはマイナスポイントから始まる)。勝てばポイントが増え、全ラウンドが終了した時点でポイント数の一番多いプレイヤーが優勝となる。 
ポイントが近いプレイヤー同士で対局をする。上位のプレイヤーは開始時にポイント的には有利だけれど、第1ラウンドからいきなり強い相手と対戦することになる。
全員が第1ラウンドを終了した後、その時点でのポイントが近いプレイヤー同士で第2ラウンドの対局が組まれる。勝てば勝つほどより強いプレイヤーと対局することになる。 
プレイヤーは例え全勝しても優勝できるとは限らないし、逆に全勝していなくても優勝できることがある。
例えば、-3ポイントから開始した下位のプレイヤーが6戦全勝して3ポイントになったとしても、0ポイントで開始した上位のプレイヤーが4勝2敗で4ポイントならポイントの大きい上位プレイヤーの優勝となる。
一見公平でないように見えるが、下位プレイヤーが6勝するより上位プレイヤーが4勝する方が難しければ公正であるといえる。 
マクマホン式がスイス式に比べて優れている点として、勝者が決まるまでの試合数が少ない事と、最初から極端に実力差がある対局を避けられる事であり、スイス式より公平でバランスの取れた方法であるといえる。
ただし、最初に与えるポイントが適切であればという前提でだけど。

  • 同時マクマホン方式 (Simultaneous McMahon)
マクマホン方式では第1ラウンドで全員終了した後に第2ラウンドが開始されるが、同時マクマホン方式では参加者をいくつかのグループに分け、それぞれのグループで総当たりのリーグ戦をさせることによって一度に複数の対局を並行して行う。
※勝ち点のポイント(Points)を OGSでは「目数」と表しているけれど、これは日本語訳がおかしいだけ。たぶん、黒40目(40 points)とかの「目数」から来ている。


<仮プレイヤー>
仮プレイヤー参加の可/不可を設定できる。
仮プレイヤー(暫定プレイヤー)とは、段級位(ランク)が定まっていないプレイヤーのことであり、公平性のため参加不可となっているトーナメントが多い。


<トーナメントの品質>
トーナメントのルールをどのようにするかはトーナメントの作成者(トーナメント管理者、またはトーナメントディレクターという)の設計次第である。持ち時間を長くしすぎるとトーナメント終了まで数年かかるようなことになったり棄権者が次々と出てくるようなことになるし、短くしすぎると時間切れが多発したりする。

また、参加者の棋力やそのばらつきによっては手合い違いの対局ばかりになったり碁の実力よりも組み合わせの運不運の方が優先されるような不公平なものになりかねない。
特にマクマホン方式では開始前に設定されるポイントが重要であり、これは「マクマホングループ分け (McMahon Bars)」の項目で設定される。マクマホン方式の良いところが出るか悪いところばかり出るかはその設定次第。

どの程度の棋力の人がどの程度参加するのかを予想し、トーナメント設計をすることが重要となる。
また、強いものが優勝しやすいことを前提とするのか、棋力に関係なく誰しも優勝の可能性があること(つまり不公平)を前提とするのかによってもずいぶん変わってくると思う。


<最後に>
良く設計されたトーナメントだからといって自分に適しているルールだとは限らない。
また、一度に多くの対局が開始されたり、1回戦が終了して忘れたころに2回戦が始まったりすることがあるので、気付けば対局数が多くなりすぎてパンクしてしまったというような事にならないよう注意が必要。


<参考(トーナメント作成画面)>

  • 負け抜け


  •  2回負け抜け


  •  総当たり戦


  •  スイス式


  •  マクマホン方式


  •  同時マクマホン方式